BASI-KRAMER’s blog

浜までは海女も蓑着る時雨かな

予知夢⑤ ~彼女と初めて出会った日

怪しい経験はいつも夏

 

彼女はどうして、わざわざ聞いたのだろうか。

『ここに居ても良い?』

2回も。黙っていれば、そのまま居れたはずなのに。

 

12歳の夏休み、ルアー大会にエントリーしていた。

なかなか大物が釣れず、地元で名所と呼ばれる湖に忍び込み、釣りをしていた。

その最中、何かに引っかかった感触があり、そのままリールを巻いていると、

黒い髪の毛の様なものがルアーに絡まって水面に上がってきたのだ。

 

目の錯覚か、水面に虚ろな目をした女性が映っている。

隣を見ても誰も居ない。

友達は少し離れたとこでルアーをキャストしていた。

 

良くない事が起きる。

 

子供心に察知した時、買ったばかりのルアーがもったいない気持ちを上回り、

慌ててラインを切った。なにかと絡まったまま沈んでいくルアー。

 

女性の事は、なんだろうと思っていた程度だったが、ふと同じ湖面を見てしまった。

ゆらぐ水面から、こちらを見つめる女性と目が合った。

 

その日の夜から、彼女が現れるようになる。