BASI-KRAMER’s blog

浜までは海女も蓑着る時雨かな

予知夢⑧ ~金色に輝く神の軍団

目の前の大惨事が信じられなかった

 

暗闇のリビングに置かれた何も映ってないテレビを眺めていた。

画面に映像が流れ始める。

津波の第一波を受けた地区に、様子を確認する為に戻って来た人々。

背後から黒い壁が迫ってくる。津波だ。

 

『何してる。早く逃げろ!』

 

画面に向かって叫んだ途端、画面をすり抜け、現地に立っていた。

目の前の壁がすぐそこまで近づいていた。

慌てて逃げようとしたが、がれきが邪魔で走れない。

あっという間に捕まってしまった。

小雨の降る薄暗い空が凄い速さで流れていく。

時速50kmを越えていたのではないか。

積みあがったがれきで空はあっという間に小さくなり、真っ暗になった。

宙を浮いているのか、上も下も分からない。

体の機能が次々に失われていく。もう助からない。

 

『みんなを助けてくれ』心で祈った。

『みんなを助けてくれよ!』天に向かって吠えた。

 

暗闇に現れた青白い顔が金色に輝き始める。

全身の輪郭が見えた時、それは甲冑に身を包んだ鬼だった。

『どうしてここに鬼が居るんだろう』

次の瞬間、がれきの上に座っていた。

 

時の流れは止まっていた

 

目の前に鬼が居た。

金色の甲冑に身を包み、上向きの牙2本が生えたおどろおどろしい顔だ。

でも優しい眼だった。

隣には、白いシャツに赤いスカート、髪を二つに結んだ小さな女の子が、金色のカエルの前に座っていた。巨大な埴輪が両手に人を抱えている。見たことのない、近未来を彷彿とさせる神も居た。

水平線の彼方まで海を覆いつくした金色に輝く神々の軍団。

 

『みんな助かった。良かった。』

 

幼くしてこの世を卒業した者は、あるものは杉の木に、あるものは楓の木に、と姿を変えて少しづつ成長していくという。その姿を見て、傷ついた魂が癒される時が来る。

 

道端のお地蔵さんにも役割がある

 

ja.wikipedia.org

 

祠やお地蔵様、あれは神の世界とこの世を繋ぐ門(ゲート)ではないか。

現世に緊急事態が発生した時、その門を通って、神の軍団がなだれこんでくるのだ。

全知全能の神様でも、あの切迫した事態では1つか2つの魂を救うので精一杯だった。

 

心の復興がいつになれば始まるのか、見当がつかない。

今はただ、傷ついた人たちの気持ちに寄り添い続けるだけだ。