BASI-KRAMER’s blog

浜までは海女も蓑着る時雨かな

排気ガス自殺現場で感じたこと

kaigo-sos.hatenablog.com


人が死んでる!

 

小学生の頃、田舎だったので、朝は集団登校だった。

寒い日だった。

通学路でない抜け道を歩いていると、

草むらにエンジンがかかったままの車が止まっていた。

 

誰かが叫ぶ『人が死んでるよ!』

 

全員でダッシュして現場に急行した。

運転席を倒して、男性が上を向いて眠ったまま死んでいた。

体の上に手を組んだまま。

顔にはまだ生気がある。死にたてのホカホカだ。

 

強烈な違和感。

 

目立つ黄色のテープで、きっちりと窓ガラスがマスキングされており、それは、ただ適当に貼ったのでなく、角を各々カットして、きれいな台形になっていた。

マフラーに接続したホースは車内に引き込まれ、丁度顔の上から排ガスが当たるよう、セッティングされていた。その丁寧な仕事ぶりに違和感を感じたのだ。

 

しばらくして、おまわりさんがやって来た。

『君たち、早く学校に行きなさい』

私は我慢できずに、お巡りさんに聞いたのです。

『ねえねえ、お巡りさん、実弾何発入ってるの?』

『機密事項で答えられない』

 

チッ。

 

歩きながら感じた。本当に死にたいのなら、山奥で勝手に死ねば良いはず。

人通りがある道路脇の草むらで、目立つ黄色のテープを使って。

 

恐らくあの男性は真面目で几帳面な方だったのだろう。

この世での最後の仕事が、自分が死ぬ準備。どんな思いだったのだろうか。

 

死んだら、見つけてほしい、供養してほしいと思っていたのだろうか。

そもそも、本当は誰かに助けてほしいと願っていたのでは。

もっと、生きたかったのでは。

 

今でもあの時を思い出す事がある。