BASI-KRAMER’s blog

浜までは海女も蓑着る時雨かな

多目的誘導弾システム(改)

世界初光ファイバー誘導弾の次期型

 

96式多目的誘導弾は、世界初の光ファイバー誘導弾であり、耐妨害に強いという特徴があるがミサイル1発5,000万円、システムは6両構成で27億円と高額であった。

対処能力の向上とコスト低減の両立を図る次期型の開発が進んでいる。

システム構成は6両→3両となっている。再装填車両が見当たらないが、これは、C-2輸送機からパレット搭載したミサイルコンテナを、別車両で回収・運搬する構想となっている。ミサイルコンテナは単独での使用も想定している。無線通信・電源は必要であり、有線誘導は出来ない。

同時対処能力を上げるという事は人間のオペレーションが間に合わなくなるわけで、ある程度ミサイルが自立的に判定する必要がある。この、要素研究は『将来ネットワーク型多目的誘導弾システム』として実施している。

https://www.mod.go.jp/atla/research/gaibuhyouka/pdf/F-MPMS_24.pdf

目的は、多数の目標を同時・自動的に捜索・識別し、自律的に目標を撃破することであり、ミサイルには赤外線センサとレーザ測距など、複数のセンサを搭載する事で、対象物を自律的に認識する。日本沿岸、特に北海道や日本海側は波が高く、そこに浮いている小型舟艇を検出するには、上下する波の上に浮いている敵舟艇を正しく認識しなければならない。このため、連続的な高さ情報から、波の高さパターンと舟艇とを切り分けるアルゴリズムが搭載されていると推定される。

 

さらにミサイルによる自立判定結果はAIをも使用して、確度情報をモニタに表示、そのまま撃破するか、人間が介在して最終判定するかを選択する。96式多目的誘導弾の画像センサは白黒だが、次期型はカラー化も検討されている。ただし、カラー画像だと人間には識別し易いが(夜間だと意味ないけど)、情報処理量は増えるので、通信量・画像処理量とも増大する。このため、操作者に送信する画像のみ、必要に応じてカラー画像に変更出来る仕様が検討されている。

 

96式多目的誘導弾は、長い事、評論家から批判的な事を言われて来たが、自衛隊にとって、敵上陸阻止という点での有用性はある、と判断されているようだ。現行の誘導弾は生産数が極めて少なく、部品の枯渇、メーカのライン維持とも危うくなっており、過去分の赤字補填の意味合いもあると思うが、現在、大量に発注されている。

 

出典リンク:

https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11339364/www.mod.go.jp/j/approach/hyouka/seisaku/results/30/pdf/jizen_01_sankou.pdf