ミッション・オートノミーとは、無人機が通信・GPS妨害下で、AI(人工知能)が自律的に判断し、あらかじめ設定された任務を遂行する技術のこと。
三菱重工は、自社製ミッション・オートノミー開発の一環として、Shield AI社のAI開発環境「Hivemind Enterprise」を使用した無人機開発を実施、開始から8週間で飛行実証に成功した。
Shield AI社は、自衛隊が導入を決めたV-BATの製造メーカでもある。
Hivemind Enterprise は、従来個別に開発していた環境を統合したエッジAIプラットフォーム。
AIアーキテクチャは5層から成る。
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│ 5. 協調自律層(Swarm / Team AI) │
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│ 4. 高レベル意思決定層(Mission AI) │
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│ 3. 認識・理解層(Perception / SLAM) │
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│ 2. 制御・行動生成層(Planning / Control) │
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│ 1. 機体統合層(Platform Integration) │
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1. 機体統合層(Platform Integration)
機体構造に非依存の為、固定翼、ヘリ、ロボットにも適用可能。
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機体のフライトコントローラ(PX4, proprietary FC など)との接続
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センサー(EO/IR、LiDAR、レーダー、IMU、GPS)の抽象化
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推進系・操舵系の制御インターフェース
2. 制御・行動生成層(Planning / Control)
GPS妨害、電子戦環境下での、自立飛行が可能。
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経路計画(Path Planning)
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障害物回避
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速度・姿勢制御
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緊急時のフェイルセーフ行動
3. 認識・理解層(Perception / SLAM)
機体ごとのセンシングと認識
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センサー融合(EO/IR + レーダー + IMU)
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SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)
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物体検出・追跡
4. 高レベル意思決定層(Mission AI)
与えられた目的を遂行する為に、自律的に意思決定する。
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任務計画(Mission Planning)
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タスク選択(Task Allocation)
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目標探索・優先順位付け
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脅威回避の戦術判断
5. 協調自律層(Swarm / Team AI)
複数無人機の協調自律が可能
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分散意思決定(Decentralized Decision Making)
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役割分担(Task Allocation)
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隊形維持・探索分散
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情報共有(通信がある場合)
これらAIアーキテクチャを用いた機体開発全般の開発環境も提供する。
・AI 学習(機体の判断ロジック)
・シミュレーション評価(仮想空間での動作検証)
・Hardware In The Loop(HIL)試験(実機に近い環境での検証)
・実機への AI 搭載と飛行テスト
従来型のAIでは、実機環境での学習用データの収集、ディープラーニングが必須であり、ここだけでも膨大な工数がかかっていたが、Hivemind Enterprise はこれも模擬できる。
三菱重工は、開発開始から、わずか8週間で飛行実証に成功しており、『攻めて飛行しろ』の命令に従い、試作機が滑走路に斜めから進入しているのが印象的だ。
気になる使用料金は完全非公開となっている。