ショックで味覚がなくなった
震災の後、苦しんでいた。
とてつもない惨劇。
水平線の彼方まで海を覆いつくした金色に輝く神の軍団に助けられた人たち。
そんな話誰にも出来ない。
『よっ!』
元気な声で背中をポンと叩いて、彼女が涅槃から戻ってきた。
すぐには理解出来なかった。思い返して、そう気付いたのだ。
成仏してから5年が経っていた。
その日から私の背後霊になった、元幽霊の姉さん。
ポルターガイストの原因は静電気
震災から10年が過ぎたある時、バーのマスターと神棚の話をしていた。
マスター曰く『うちは毎日、水、塩、ごはんを備えてます』
私は『水だけです。気持ちですよ。気持ち』と答えた。
その日の夜、台所からカラーン、カラーン、と金属音が聞こえて目が覚めた。
行ってみると、壁に吊り下げていたお玉が揺れて、周りにぶつかっている。
地震か?
焦ったが、揺れているのはお玉だけ。
『なんか食わせろや。』
と言われているような気がして、新玉、新じゃが、国産黒毛和牛の肉じゃがと三河産シラスのサラダをお供えした。日本酒と一緒に。
『おやじ、神様仏様、姉さん、今日はこれで一杯やってください』
次の日、榊の花が咲いていた。
みんな、酒の宴で盛り上がってくれた?
神棚がある方々に聞いても、榊の花が咲いたのを見た人は誰もいなかった。
聞いたこともないと言う。
野生では普通に咲くのだろうけど、レア現象なのかな。