BASI-KRAMER’s blog

浜までは海女も蓑着る時雨かな

予知夢⑯ ~悪霊との闘い(2)

友の声が聞こえるか

 

黒い影の悪霊は、長い腕を振り回している。

タコの足のようだが、吸盤がトゲの様な形状。当たると痛そう、実際痛いし。

刀を握る腕に意識を集中して、ギターを持つ手はサブ扱いに変更した。

刀のつばから青白い炎が立ち上る。

 

子供の頃、風呂で渦巻を作って遊んでいたのを思い出した。

刀を振ってみる。

海底の砂が巻き上げられ、竜巻のように回転しながら、黒い影に進んでいった。

力いっぱい刀を振ると、竜巻が大きくなり、回転も強くなる。

 

竜巻を覚えた~♪ (チャララ チャ チャラ~)

 

解説音がする。ドラクエかよ。

竜巻を放ちながら黒い影の周りを走っているが、どうやって彼女を助けるのだろうか。

悲しみはとても深く、かける言葉が見つからない。

 

『成仏前に付き合ってください(キリッ』

逮捕だろ、JK。

 

竜巻で攻撃は防御出来ているが、近づくにつれ、受ける衝撃が大きくなっていく。

 

『友の声が聞こえないのか!』

無意識に叫んでいた。

 

『友の声が聞こえるか!』

黒い影の中に彼女の姿が浮かび上がり始める。

 

走りながら一気に間合いを詰めて、削り出すが如く、彼女を覆う黒い影を切り刻んだ。

影は砕け散り、砂の上に彼女は仰向けに倒れる。

 

戦闘曲は止まった。自分も人の姿に戻っていた。

 

キョトンとした表情で彼女は砂の上に座り込んでいる。

当たりを見まわしながら立ち上げると、制服のスカートをパンパンとはたいて砂を落としながら、手を上げて、

 

『ばいばい』

 

背を向けて走り始めると、閃光とともに消えた。

 

『軽いなJK』

 

2012年のことだった。