円安でアップグレードも困難
陸自が運用するAH-64Dは2025年にメーカサポート終了されるとアナウンスされている。同じD型を運用するオランダはE型へのアップグレードを実施中。オランダはAH-64Dを1997年から受領している。
コストを見ると、エジプトは43機を$2.3billionでD→Eにアップグレード。1ドル150円とすると、1機80億円となる。
陸自は攻撃ヘリ、観測ヘリを全機退役させる方針。その方針がなかったとして、12機をアップグレードした場合、そもそも12機のうち部隊配備は6機に過ぎず、総費用は960億円と高額で、費用対効果を考え断念した可能性が高い。OH-1は不具合対応として、1機ごとにエンジン特性の計測と、特性に合わせてマッチングした部品製造が必要で、製造は年2機程度、億単位の費用がかかっている。かつての変態機動を披露することは、もうないだろう。
陸自は2002年にAH-64D調達予算を計上しているので、オランダよりも機体は新しく、可能性は極めて低いが、E型へのアップグレードを前提に他国に売却する可能性はあると思う。
UH-60JA武装化の可能性
攻撃ヘリ廃止後も、『既存ヘリの武装化などにより、最低限必要な機能を保持する』とある。かつて検討されたUH-60JAの武装化が有力だろう。機能保持とはいえ、少数装備の為に、専用の教育、整備、訓練を実施する事にはなる。攻撃ヘリ廃止で行き場のなくなった隊員達の職場確保の意味合いが強い。ドイツも同じ選択(攻撃ヘリ廃止、輸送ヘリH145M武装化)をしている。