伝統の貫通式潜望鏡はそうりゅう型が最後に
貫通式潜望鏡の断面構造は以下のようになっている。
図1:貫通型潜望鏡の構造断面図(リンク①)
これを見ると、船体を上下に貫いている事が分かる。潜望鏡と船体との間には防水機構がある為、伸縮構造は最低限で船の縦方向の長さがそのまま潜望鏡の長さとなる。潜望鏡内部は光学式のプリズムを折り返し、無限遠で撮像した映像を手元で結像させている。製造はニコンが担当していた。広島の『てつのくじら館』では、本物の潜望鏡で映像を直接見ることが出来る。
練習艦まきしおでの運用(リンク②)
潜望鏡は長らくニコン製の光学貫通式潜望鏡2本構成だったが、そうりゅう型から、光学式1本+非貫通式潜望鏡1型(イギリス、タレス製CMO10を三菱電機ライセンス)1本へ変更。たいげい型では、非貫通式潜望鏡2本となり、貫通式潜望鏡はついに廃止された。たいげい型では、図1のあるように船体を縦方向に貫通する潜望鏡スペースが不要になった為、艦内スペースに余裕が出来たと思われる。米国原潜でも非貫通式潜望鏡移行後、指揮所を最上部から1つ下層に移動(下層は船体スペースが広くなる為)している。
非貫通式潜望鏡は、デジカメと同じく撮像素子で映像を見る為、全周に素子を配置して回転機構を不要にしているモノもある。
マストを海上に出して録画後、すぐに下げる事も可能なので隠密性が高まる。今は、デジタル画像をAI処理して、脅威の判定を自動化するのが潮流となっている。たいげい型からは船内の情報処理が光ファイバー化されている為、ソナー音の解析結果と画像の解析結果の照合が自動化されていると推察する。結果は瞬時に指揮所のディスプレイに表示され、隊員に共有される。かつてとは比べ物にならない速さだろう。
ニコン製の光学潜望鏡がなくなるのは寂しさもあるが、非貫通式潜望鏡の光学系は引き続きニコンが担当しているとの話も聞く。
リンク①
リンク②