山頂の松の木に向かって
何をすれば良いのか分からなったが、女の子を抱きかかえて、山頂に残された最後の松の木に向かって歩き始めたのだ。
空間が揺らぎ始め、地面から影が立ち上がる。
なんだ、と思っていたが、その影の群れがこちらに殺到してくる。
慌てて、刀を抜いて片っ端から切り捨てていくが、次から次に湧いてくる、キリがない。山頂に向かって走り始めた。
抱きかかえた女の子は松の枝を手にして、前をジッと見つめたままだ。
千里眼に女の子と同じ歳の子が現世で過ごす姿が映る。
ある者は野球の試合で白球を追い、ある者は公園で談笑している。それぞれに青春時代を過ごしているのだろうか。彼女も同じ経験をするはずだったのに。
Burnが流れる中、山頂にたどり着いた。
松の木の前で、ぼろ着を来た何者かが振り返る。
鎌を手にして、ひょっとこのお面を付けていた。
これがラスボスか・・と思った瞬間には、X型で切り裂いていた。
松の木の前で彼女に話かける。
『君はこの松の中で、八頭身の大人になるんだ』
『?』
彼女は松の木の中に消えていった。
この世を幼くして去った者は、ある者は松の木に、ある者はイチョウの木に、と姿を変えて成長していく。その姿を見て、傷ついた魂が修復されることもあるのだろうか。