BASI-KRAMER’s blog

浜までは海女も蓑着る時雨かな

予知夢⑱ ~悪霊との闘い(4)

山頂の松の木に向かって

 

何をすれば良いのか分からなったが、女の子を抱きかかえて、山頂に残された最後の松の木に向かって歩き始めたのだ。

 

空間が揺らぎ始め、地面から影が立ち上がる。

なんだ、と思っていたが、その影の群れがこちらに殺到してくる。

慌てて、刀を抜いて片っ端から切り捨てていくが、次から次に湧いてくる、キリがない。山頂に向かって走り始めた。

 

抱きかかえた女の子は松の枝を手にして、前をジッと見つめたままだ。

千里眼に女の子と同じ歳の子が現世で過ごす姿が映る。

ある者は野球の試合で白球を追い、ある者は公園で談笑している。それぞれに青春時代を過ごしているのだろうか。彼女も同じ経験をするはずだったのに。

 

Burnが流れる中、山頂にたどり着いた。

 

松の木の前で、ぼろ着を来た何者かが振り返る。

鎌を手にして、ひょっとこのお面を付けていた。

これがラスボスか・・と思った瞬間には、X型で切り裂いていた。

 

松の木の前で彼女に話かける。

『君はこの松の中で、八頭身の大人になるんだ』

『?』

彼女は松の木の中に消えていった。

 

この世を幼くして去った者は、ある者は松の木に、ある者はイチョウの木に、と姿を変えて成長していく。その姿を見て、傷ついた魂が修復されることもあるのだろうか。