電子戦システム(SEWIP)搭載
防衛省・自衛隊:イージス・システム搭載艦の建造契約締結について
もろもろの経緯を経て、イージス艦にSPY-7を搭載する形で収まった。長期間、海上に滞在する為、全室個室化や、燃費改善を狙い機関をハイブリット化する。
当初は、対空・対潜戦闘は必要最低限で、あくまでも弾道ミサイル対処が最優先とされていたが、ある程度の戦闘能力も考慮するようだ。
特徴的である巨大なSPY-7レーダを艦橋に配置した為、トップヘビーな姿になっている。船体はステルス性も考慮しているように見えるが、マストは従来型のままであり、中途半端な印象。
米国で導入が進む最新型の電子戦システム(SEWIP)を搭載するという。複数のBlock が存在しているが、公式ニュースにて日本への供給を発表したLockheed MartinはBlock2を担当しているので、Block2だと思われる。
Block 2まではES機能のみとなるが、最新型のBlock 3では、電子攻撃(EA)が追加されている。Block 3までが生産中で、Block 4を開発中。各Blockの機能は以下の通り。
Block 1 電子監視の強化、制御と表示の改善、特定のエミッター ID を含む特殊信号傍受用の補助受信機、高ゲイン/高感度機能 General Dynamics担当。
Block 2 N/SLQ-32 の電子サポート (ES) アンテナ、ES 受信機、オープン戦闘システム インターフェイスがアップグレード Lockheed Martin 担当。
Block 3 非運動エネルギーのソフトキル弾倉を備えた電子攻撃能力(EA)を提供し、侵入する脅威を無力化 Northrop Grumman担当。
Block 4 高度な電気光学および赤外線機能を追加
トマホーク搭載
武装に関しては、VLS128セルを基本として、対空用途としても使える主砲と後方VLS周辺の両舷に哨戒艦と同じく30mm機関砲を配置しているように見える。前後にはCIWSx2門を配置。将来的にはレーザやマイクロ波、トマホークを含む各種ミサイルが搭載される予定。
IBCSとの連携
今後は陸上からの迎撃との連携も必要となるはずであり、陸上自衛隊にはIBCS※が導入されるだろう。※IBCS(Integrated Battle Command System)
2024年に発表された、ノースロップ・グラマンと三菱電機による、『日本の統合防空ミサイル防衛システムのネットワーク化の強化へ向けた協業』のプレスリリースでは、IBCSについて、以下のように述べられている。
(抜粋)
米陸軍向けに開発された統合戦闘指揮システム(IBCS)は、製造元・軍種・領域に関係なく、現在と将来のアセットを戦場全体で統一する能力を有し、基盤として機能しています。オープンでモジュール化された、スケーラブルなアーキテクチャを通して、IBCSはセンサーデータを融合して戦場の全体像を実用的に把握し、迅速かつ十分な情報に基づいた意思決定によりシューターを最適化することで、これまでにない能力を運用者に提供します。
ノースロップ・グラマンと三菱電機、日本の統合防空ミサイル防衛システムのネットワーク化の強化へ向け協業 | Northrop Grumman
迷走の果てに
もともとイージスアショアはミサイル防衛の人員不足に対応する為、陸上に配置する事が第一目的であった。当時の大臣の思い付きで中止になったように見えるが、実態は首都東京の防衛を最優先にコンセプトを変更したからであり、超高額な装備をごり押しで導入する動機付けとなっている。
SPY-7はイージスシステムとの連結テストは実施済みで、洋上での運用も問題ないと製造元のロッキードマーティンは答えている。試作品には富士通製のGaN半導体が使用されていたが、量産品も富士通のままかは、現時点で不明だ。
SM3ブロック2Aは開発費2,000億円、日本が半分を負担。ただし日本側の担当する開発部位は、誰でも出来る簡単な物だけ。肝はすべて米側担当となっている。お値段だが、FMSでは、73発で32億9500万ドル、1発4,500万ドル。1ドル=140円として、1発で約63億円となる。たかっ!
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