BASI-KRAMER’s blog

浜までは海女も蓑着る時雨かな

次期潜水艦 ~VLS搭載

2025年8月

次期潜水艦(VLS搭載型)のトータルシップ最適化設計に関する研究

 

VLSを搭載する事で、全長は長くなり、結果、ステルス性や運動性能の低下が課題となる。VLS発射時の姿勢制御、発射後の現場からの離脱などの機動性の解析も必要となる。VLSは米軍の潜水艦と同じく、複数のミサイルチューブを束ねて1つのVLSに格納する方式を構想しているようだ。

 

出展:防衛省 リンク先

効率的な試作を進めるため、成果物である「潜水艦コンセプト評価シミュレータ」を活用、運動性能等のシミュレーションを実施する。

 

「潜水艦コンセプト評価シミュレータ」

一般的には、モデルベース開発(MBD:Model-Based Development)として知られた手法であり、ソフトウエアのV字モデルのハード版とでもいうべき概念といえる。MBDをどのモデル、ソフトウエア言語で実現するかは、色々なやり方がある。

 

https://cct-cdn.zuudev.com/1200/800/fTZQhJlRyUaJjRzpeGgGJWgtfibgaBad/e5be0611-393e-4d9e-a64c-57ab05ccec2b.png

MHIの航空機の脚揚げ機構へ適用したMBDの例。1DCAEと呼ばれるツールでMBD開発を行っている。機構を構成する要素それぞれをモデル化、互いの影響度合いを関連付けて統合化する。

https://www.mhi.com/jp/group/aerotech/sites/g/files/jwhtju2086/files/styles/desktop_image_style/public/2022-06/model_02.png.webp?itok=72Fa5yQ4

モデルベース開発 | MHIエアロテクノロジーズ株式会社

 

「潜水艦コンセプト評価シミュレータ」は、仮想的な試作品として機能するので、システム上でV字モデル右側を模擬する。こうする事で要件定義からの正しさが増すわけで、結果、効率的な開発が実現できる。

 

重要なのは、シミュレーションレベルであり、恐らく現段階では簡易的な性能しか持ち合わせていない。

 

次ステップでは、『水中発射型垂直発射装置の研究試作』で製造する試作品の試験結果と、「潜水艦コンセプト評価シミュレータ」の結果とを比較して、シミュレーションレベルの引き上げが行われる事になるだろう。

 

www.mod.go.jp

 

2024年『水中発射型垂直発射装置の研究試作』

出典:総務省 リンク先

kaigo-sos.hatenablog.com

 

『水中発射型垂直発射装置の研究』 では、達成すべき目標 として、以下を挙げている。

 ・ VLS発射機能の技術の確立

 ・VLS船体制御機能の技術の確立

 ・VLS本体及びVLS搭載耐圧殻の耐水圧性能に関する技術の確立 

 

初の研究でもあり諸外国からの導入も極めて困難な事からリスク低減策として、

 ・試験及びシミュレーションによる検証を十分に実施する。

 ・搭載弾の仕様を幅広に想定し検討する。 

としている。

総務省|政策評価ポータルサイト|防衛省 研究開発を対象とする政策評価

 

シミュレーションに関しては、先行して『潜水艦構造様式の研究』を実施。VLS耐圧殻模型を作成、破壊メカニズムのデータを取得している。

潜水艦構造様式の研究(出典:防衛装備庁 リンク先)

VLSイメージ図(出典:防衛装備庁 リンク先)

https://www.mod.go.jp/atla/research/ats2023/pdf_exhi_pos/P-10.pdf

 

関連情報

川崎重工は独自コンセプトを公開しており、プロジェクトに参画する予定。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/B/BASI-KRAMER/20240506/20240506113120.png

kaigo-sos.hatenablog.com

 

潜水艦VLS技術について、諸外国の搭載例はあるものの、秘匿性が高く、ほとんど情報がない。イスラエルは核ミサイル搭載可能な潜水艦の保有の有無について、徹底した情報管理を実施している。

 

VLS自体の技術開発は新規だが、それを搭載する潜水艦構造も、例えば浮甲板との配置をどうするのか、発射時のノイズ抑制をどこまで拘るのか大きな課題になりそうだ。

また潜行時の深さや航行速度、船体角度、潮流の影響をどこまで許容するのか、解明すべき事項は膨大になると予想される。

 

対地攻撃ミサイルに通常弾を用いるのは榴弾と破壊威力は変わらず、軍事的にはほとんど効果を発揮しない。費用対効果が悪すぎる以前に、無さ過ぎる。核ミサイル搭載を前提としない以上、政治的な意味しかない。ただし、対艦ミサイルを搭載するとなれば、相手にとっては大きな脅威となるだろう。

 

先行して、潜水艦発射型誘導弾の開発が始まる。

kaigo-sos.hatenablog.com