水中発射型垂直発射装置の研究
防衛省は、潜水艦へのスタンドオフミサイル搭載に必要なVLSの研究をR7年から本格化する。
『水中発射型垂直発射装置の研究』 では、達成すべき目標 として、以下を挙げている。
・ VLS発射機能の技術の確立
・VLS船体制御機能の技術の確立
・VLS本体及びVLS搭載耐圧殻の耐水圧性能に関する技術の確立
初の研究でもあり諸外国からの導入も極めて困難な事からリスク低減策として、
・試験及びシミュレーションによる検証を十分に実施する。
・搭載弾の仕様を幅広に想定し検討する。
としている。
総務省|政策評価ポータルサイト|防衛省 研究開発を対象とする政策評価
シミュレーションに関しては、先行して『潜水艦構造様式の研究』を実施。VLS耐圧殻模型を作成、破壊メカニズムのデータを取得している。
https://www.mod.go.jp/atla/research/ats2023/pdf_exhi_pos/P-10.pdf
川崎重工は独自コンセプトを公開しており、プロジェクトに参画する予定。
潜水艦VLS技術について、諸外国の搭載例はあるものの、秘匿性が高く、ほとんど情報がない。イスラエルは核ミサイル搭載可能な潜水艦の保有の有無について、徹底した情報管理を実施している。
VLS自体の技術開発は新規だが、それを搭載する潜水艦構造も、例えば浮甲板との配置をどうするのか、発射時のノイズ抑制をどこまで拘るのか大きな課題になりそうだ。
また潜行時の深さや航行速度、船体角度、潮流の影響をどこまで許容するのか、解明すべき事項は膨大になると予想される。
対地攻撃ミサイルに通常弾を用いるのは榴弾と破壊威力は変わらず、軍事的にはほとんど効果を発揮しない。費用対効果が悪すぎる以前に、無さ過ぎる。核ミサイル搭載を前提としない以上、政治的な意味しかない。ただし、対艦ミサイルを搭載するとなれば、相手にとっては大きな脅威となるだろう。
遠い将来、有人潜水艦で実用化出来たとして、人員不足の問題は顕著化したままであり、今でさえ複雑な潜水艦システムを、このまま人間で扱うのは限界があり過ぎる。
潜水艦は相変わらず標準化はやれずに、一品主義のまま、結果、クルー制も導入出来てない。省人化や無人化をどうするのか、解決すべき大きな運用課題のはずだが。
たいげい型1番艦たいげいは、試験専用になっている。