2年ぶりに声を聞いた

『やっと、人を好きになる事ができるようになったのね』
気配を感じるが、姿は見えない。
『いい歳になったけどね』
自分に言い聞かせるように呟くと、手を握られた。
暖かく、不思議な感触だった。
28歳の頃、仕事が激務で倒れた。
当時は世間にまだ知られてないパニック障害似の症状となり、人と接する事が苦手になっていった。周りからの目も厳しくなっていった。
特定の人が苦手というわけでなく、人が多い場所に行くのもおっくうで、症状が重い頃には、スーパーのレジに並んでいるだけでも、気持ち悪くなる事があった。
症状は良くなったり、停滞したりで、悪化はしてないものの、気づけば20年以上経っている。周りは子供さんが就職、進学の時期を迎えている。
自身は1人身のまま節目の年齢となってしまったが、人間嫌いはほとんど治ってない。
が、引っ越し先の近所に角打ちが出来てからそこに通うようになり、つながりのコミュニティが出来て、イベント類にも参加するようになった。
世の中には色々な人が居ると改めて感じる。
自分も含めて。