
親の遠距離介護でクタクタだった頃、悪夢にうなされることが多くなっていた。
夢の中、その心の隙に付け入るように見慣れない気配が忍び寄る。
それは、姿の見えない色情霊(しきじょうれい)とでも形容すべき存在だった。
誰かに膝枕をされている。色白の足が見える。
が、その感触は生臭く、何かがおかしい。
振り返ると、タンクトップ姿で色白のキモイおっさんだった。
驚いた顔をして、消えた。
汗だくで目が覚めた。きもっ。気分は最悪だ。
その時、はっきりと『ためいき』が聞こえたのだ。
『はー ダメね』
え?驚いて、暗い部屋を見回したが、当然誰も居ないし、音も聞こえない。
それは、背後霊の姉さんの声だった。
背後霊というのは、常に自分を守ってくれる存在という印象だったが、その力は
自身の魂の活力と、同期しているようだ。
病は気から、とはこのことだ。
あの時のキモイおっさんは、生霊(いきりょう)かもしれない。