使い難いステルス艦
防衛装備庁が新型FFMを公開した。ここで『新型』と謳っているのは、『改良型』だと現行FFMに欠点があるのを認める事になるからだ。
https://www.mod.go.jp/atla/pinup/pinup050825.pdf
船体が3,900t→4,880tに大型化している。船首形状が変更になっているが、これはVLSを16セル→32セルに増やした可能性がある。現行の16セルでも補給スペースが狭く、作業が困難になっているのかもしれない。
一層のステルス性確保の為、艦橋はマストが45度回転しているのと、デッキまでが傾斜をかけた平面に変更されている。その代わりに、デッキ上に見張りスペースが設けられた。FFMは護衛艦としては初めて防弾ガラスが採用されたが、採用前から板厚があり視認性が悪い、耐久性がない、という仕様上の課題が指摘されていた。ステルス性と周囲の視認確認の為に、このようなレイアウトに変更したのだろうって相変わらず思想が人間の目視確認頼りなままなのだが。
マストにはレーダが2面→3面となっている。説明図では、多機能レーダとミサイル管制装置と分けて説明されており、ミサイル用にレーダを追加したとの見解もあるが、現レーダはXバンドでミサイル管制も行うはずだったはずで、機能が足りない事になる。画像を見ると、上からES、レーダ、EAと予想。ES+レーダはOPY-2発展型とする。現OPY-2の調達費用は1セット約21億円となっている。
ウクライナ紛争では、当初、ウクライナ側によるトルコ製ドローンによる目覚ましい戦果があったが、ロシアの電子戦が整うと、激減している。現在、まれに公開される画像では、電子戦の影響で画面にノイズが大量に見えており、電子妨害の有効性は明らかだ。EA追加ならば、対ドローン対処でもあるのだろう。
予算の制約があったといはいえ、現行FFMは過少な船体で余裕が無さ過ぎなのは、もともと指摘されており、拡張性や発展性を考えずに建造してしまうのは日本の伝統だろうか。
もがみ型の主な問題点
①格納庫に水が溜まる
→SH-60K運用できない。アスロック運用ができない。
②曳航式ソナーで後方は探索できるが自艦周辺の捜索が困難
→短魚雷使えない
問題①
現行FFMはヘリ着艦の確認試験は実施されている。これは要求通りの仕様が出来ているかの受領確認でもあり、実戦を想定した慣熟訓練は未だ聞こえてこない。
https://twitter.com/i/status/1569234484104499201
船体後部の容積確保の為に、伝統のオランダ坂をやめてヘリ甲板を高くした結果、水がヘリ格納庫側に流れ込み、排水がうまく出来てないと噂されている。意味があったんだね、オランダ坂。新型では、船尾がフラット構造に変更されている。
(出典:リンク①navalnews)
16セルのVLSは後日装備、かつアスロックのみが搭載されるが、ヘリがまともに使えるようになるまで、運用は限定的となる。
問題②
もがみ型の大きなコストダウン要素一つがバウソナーの省略だが、単独では自艦周辺及び前方の捜索が出来なくなった。短魚雷を使おうにも、敵が見えないので使い道がない。新型FFMでは、対機雷戦ソナーが多機能ソナーに変更された。
もがみ型には対機雷戦が追加されたが、対空装備は未搭載のまままとなり、DEあぶくま型の後継といえるが、対潜機能の一部がダウンしてしまった。
日本ダメポ
10→12隻建造
2024年以降、5年で12隻を建造する。契約では主は三菱重工となったが、1,5年目はJMUが1隻の建造を担当、かつ、2~4年目で3隻以上建造の場合、3隻目はJMUとなる。今後5年間の護衛艦の建造はFFMが12隻、イージスシステム搭載艦2隻となる。10隻→12隻にしたのはJMUに仕事を渡す側面もあるのだろうか。
【建造計画のイメージ】
ワークシェア重視 コスト重視
2024 1 1 1 1
2025 2 1 2
2026 2 1 2 1
2027 2 2
2028 1 1 2 1
リンク①