BASI-KRAMER’s blog

浜までは海女も蓑着る時雨かな

科学技術 ~イプシロンロケット失敗に思う

溶接ミスで膜に穴

 

以前の投稿で膜が弁を塞いだのでは?と推測していたが、原因は溶接時に膜に穴を開けてしまっていた、とのことだ。

 

12/22投稿

kaigo-sos.hatenablog.com

 

工業力の低下だ!と色々騒がれると思うが、確かに背景としては正しい。が、時代の変化に合わせた設計変更が出来てないままのプロジェクト運用が真因だと考える。つまり、神業を持つ熟練工に依存した思想が破綻しているという意味だ。これはロケットだけに限らない。

 

ダーウィンは言う。生き残るのは強い者ではない。時代の変化に対応出来た者だ、と。

 

時代は変わるのだ。

 

カイゼン国家の限界

 

大型プロジェクトの失敗には複合要因があるが、設計に関して言えば、何十年も前から確立された手法をカイゼンし続けている日本のやり方が、今や世界の潮流から完全に取り残されてしまっている。

 

日本人の強みであるカイゼン精神が、イノベーションを拒み、結果として生産性が低いままの社会構造を維持しているのは皮肉としか言いようがない。

 

韓国やシンガポールのように、古い経済風習をドライに切り捨てるタイプの国々の方が、日本よりもずっと平均年収が高くなっている事がこれを証明している。

 

世界では、ロケットのような複雑なシステム検証にAIを持ち込み、例えばAIからの不具合リコメンドを見ながら、その周辺だけを重点的に人間が確認する、といった手法が当たり前で、日本のような、過去を元にした総当たり検証は、時間やコストがかかるばかりで、結果、重大なミスを見落としてしまう欠点を抱えたままだ。これを解決するには、失敗覚悟の打ち上げ回数を増やすしかないのだが、これも予算不足等々で出来てない。

 

スターシップにみるアジャイル開発

 

スターシップはエンジン数基が未点火で、ブースター切り離しも出来ず、指令破壊されたが、打ち上げとして得られたものは大きいとされている。これは、全く新しい手法で、従来よりも遥かに速く、低コストで、超複雑なシステムが仕上がっている事を意味している。人間を乗せるまでに最大100回打ち上げるとの事だが、恐らく、遥かに少ない回数で完成すると思う。すでにイプシロンも、H3ロケットも旧石器時代の名残に過ぎない。日本がスターシップ試作機を完成させるには100年以上かかるだろう。