BASI-KRAMER’s blog

浜までは海女も蓑着る時雨かな

ライセンス生産についての認識間違い

スキル取得の為に必要だと言われるが・・

 

結論から言うと、モノによる。

単純なモノは、見れば分かるので、デッドコピーは容易だ。寸法を3Dスキャンして、そのまま製造すれば良い。ただし、特殊な材料・コーティングなどはコピー出来ない。

 

防衛装備品、例えば、戦闘機のエンジンは、長年に渡り巨額なライセンス料を支払い、ライセンス生産の経験を積んできたが、日本のエンジン開発能力の獲得に大きな貢献は果たせてない。メーカの仕事を確保する為に、税金を投入してきた面が圧倒的に強く、無駄遣い、特定企業の優遇批判を避ける為、『将来の技術蓄積』を旗印にしてきただけ、といえる。

 

例えば、図面を渡されても、そこに書かれている寸法の意味、つまり設計意図は決して明かされない。ある部位をコピーして、他に流用しようとしても、うまくいかない。その1つの寸法は、システム全体設計→部分設計→部品設計、そしてそれらを制御するソースコード、といった具合にそれぞれが複雑に影響し合い、1つのエンジンとして組みあがっている中での1部品の1寸法なのだ。

近年では、システムインテグレートの比重が大きくなってきており、従来のプロジェクト管理とは違ったスキルが必要であり、技術的にはデジタルモックアップの活用や、AIの導入が進んでいる。従来型の単純部品の請負は大事なスキルではあるが、ますます下請けの域を出ることは出来なくなっている。

 

例えば、トルコがF35の生産から外されたが、すぐにドイツのラインメタルが名乗りをあげており、単純な部品製造なら、それなりの工業国であれば、どこでも製造可能な状態になっている。

 

輸出したいなら、カスタマイズ思想は必須

 

韓国の輸出が好調だが、優れているのは、競合に対して安いだけでなく、ユーザごとに柔軟なカスタマイズが可能であり、現地でのライセンス生産のハードルも低くしている。中進国にとっては、有名ブランド品を高い値段で購入、維持コストも高く、稼働率も上がらない、といった融通がきかないが当たり前だった市場に登場した韓国の装備品は、我々が感じるよりも、ずっと魅力的に見えているのだろう。

 

韓国はセールストークとして、北朝鮮と対峙して緊張状態であること、米軍との共同訓練で、韓国製装備の信頼性が確保されている点をウリにしているはずだ。実際には、盛っているのかもしれないが。

 

やり方はともかく、ユーザが求める物はなんであるかを重視する姿勢は、日本も見習った方が良いと思う。液晶、半導体リチウムイオン電池、もパクりかもしれないが、顧客視点では、ことごとくやられている。日本がこの点で、作り手側の驕りがあったのは間違いない。

 

良い製品とは何か?性能が良い製品ではなく、売れる製品が良い製品なのだ。