門外不出の電子戦装置
F-15J近代化改修において、米国政府の許可の元、EPAWSSが搭載されるとボーイングが発表している。長年、電子戦装置は輸出が許可されず、F-15Jの電子戦装置は極めてアナログで、パイロットがボタンを操作して条件判定を切り替えて脅威を表示していた。IFFを作動させ、その差分を利用して味方の表示を消す事も出来ていたと思われる。
後、F-15J近代化改修の過程で『F-15の自己防御能力向上』という名称で、日本独自仕様で改修していたが、改修費は高額であり、数機(5~7機)のみ改修され、事実上中止されている。高額となった理由は定かではないが、この時の電子戦システムは、TEWSと同じコンセプトではあったが、投射式ジャマーの射出機構追加に伴う機体改修や、ジャマー自体の製造にコストがかかったのかもしれない。そしてそれに見合う期待した効果もなかったと思われる。
EPAWSSはTEWSを構成する主要3コンポーネント(AN/ALR-56C、AN/ALQ-135、AN/ALE- 40/45)を統合、発展させたシステムだが、元となるTEWSには複数のバージョンが存在すると思われる。EPAWSSにはTEWSのAN/ALQ-128 電子戦警報セットが含まれていないように見えるが、独立して残されているか不明。
TEWSのコンポーネント
AN/ALR-56C レーダー警報受信機 (RWR)
AN/ALQ-135 防衛セット (ICS)
AN/ALQ-128 電子戦警報セット
AN/ALE- 40/45防衛ディスペンサー
AN/ALQ-135は応答型ジャマーでパイロットの操作は最小化されている。AN/ALR-56C レーダー警報受信機の測定精度とリアルタイム性の向上に合わせ、AN/ALQ-135の対抗周波数の低周波帯への拡張が実施されている。つまり、より遠方からの脅威にも対抗できるわけだ。
特筆すべきは、このシステムは、敵航空機だけでなく、地上目標からの脅威の判定も可能であること、 編隊飛行中であっても、味方同士の相互干渉を避ける事が出来ることにある。敵味方識別システムIFFとの連携だろうが、恐らく半永久的に技術情報は開示されないだろう。