ダッシュ運用の歴史
『艦載型UAV 』の情報提供企業の募集が公告されている。
(抜粋)
全通甲板を有さない護衛艦に搭載し、洋上の目標捜索及び艦艇間の物資輸送を行うため、艦上運用を念頭に設計されたUAV本体及び管制装置等の艦上機材一式のことをいう。
https://www.mod.go.jp/msdf/supply/tech/20230823.pdf
過去に自衛隊は無人機ダッシュを運用していた。結果は良好だったが米軍が運用を辞めたため、廃止になった。
公告を見ると、武装は想定していない。米軍は艦載型UAVに関しては、ファイアスカウトMQ-8B,MQ-8Cの評価を実施している。コンセプトは2つ。
1.SMANDによる機雷戦
2.EABO構想
1.UAVを含めた機雷戦システムは、SMAND,Single System Multi-Mission Airborne Mine Detection と呼ばれており、次期コンステレーション級で本格導入される見込みだ。
2.艦艇からだけでなく陸上の専用ヘリパッド、 Portable Mission Control Station (MCS-P) を用いた、陸上からの作戦運用も想定。
自衛隊は、各種共同訓練を通じて米軍のEABO構想との連携を進めている。
コンセプト1について、FFMもがみ型では、USVとUUVによる機雷戦を選択しており、米軍のようなUAVも含めた機雷戦システムはもともと構想していない。
コンセプト2については、公告では『艦艇間の物資輸送』と明記しており、陸上からの運用を想定していない。
こう見ると、最有力とされていたファイアスカウトは、海上自衛隊の求める機能と方向性が合っておらず、1機あたりの導入コストが約26億円(1ドル=145円換算)を考慮すると、ファイアスカウトありきの公告ではないと思う。とはいえ代わりの候補も見当たらない。どうなるのだろうか。
と思いながら、改めて新型FFMの構想図を見ると、UAV(飛翔型センサ)とある。
『飛翔型センサ』については、R4年に公告が出ている。
https://www.mod.go.jp/msdf/supply/tech/20220916.pdf
(抜粋)
(1)飛翔型センサ
全通甲板を有さない水上艦艇の艦上にて発着艦を伴う運用を行うことを念頭に設計された、洋上監視用の小型UAV及びその管制装置等の艦上機材一式のことをいう。
ここでは『小型UAV』 と、わざわざ明記されており、輸送能力も求めてない事から、ファイアスカウトはそもそも候補でないようだ。だとすると冒頭の公告とも合っておらず、複数種のUAVを検討しているのかもしれない。