BASI-KRAMER’s blog

浜までは海女も蓑着る時雨かな

経済 ~日経平均がバブル越えの今

景気感と乖離する株価

 

日経平均の上昇が続いている。バブル期との比較、失われた30年が話題になるが、当時と今とでは状況は全く異なる。色々言われているので、省略するとして、数字的に最も顕著なのは、利益に対しての株価であり、

 

 当時のPERが60倍に対して、現在のPERは16倍

 

となっている。これは世界的に見ても過熱とはいえない水準であるが、これからどうなるかは、今後も利益率を上昇出来るか、にかかっている。利益率が上昇する見込みならば、割安に見えるし、そうでないなら、頭打ちとなる。

 

一方で世界の政治状況を見ると、米中対立により、米国から中国への投資そのもののリスクが上昇して、投資したくても投資出来ないファンドが増えている。さらに中国不動産の不良債権問題もあり、それまで裁定取引で、中国で買い、日本で売り、のポジションを取っていた外資ファンドが、日本での売りが出来なくなっている。直近では外国人は買い越し、日本人は売り越しとなっているのが、面白い。

 

新NISAで日本人はS&P500など海外投資に振り向けており、あてが外れた格好だ。

 

国内市場の懸念点としては、日銀保有ETF、年金基金保有ETFは大きくは売られておらず、流動性がいびつなままになっている。年金基金の累積利益は2000年以降で120兆円に達しており、定期的になにかしら利確していると思われるが、全く売ってない日銀保有ETFはいつか売る時が来るはずだ。それは数年先のことだが。よって、今後数年は上昇傾向の相場が続くと思う。

 

国際政治を見ると、トランプが再び大統領となり、すぐにプーチンと握手してウクライナを見捨て、ロシアへの投資を始めても、中国の代わりにはならないだろう。欧州も一枚岩ではなく、ハンガリースロバキアはトランプに同調しても主流にはならない。結果、外資ファンドは、日本売りのポジションを持てない。アメリカ第一主義で、USスチールの買収は失敗するだろうが、日本企業全体の業績への影響は極めて限定的となる。

 

日本企業の株価としての利益率の向上は、自社株買いによる影響も大きい。

自社株買いは、2023年には10兆円にも達している。

一方で、その原資となる利益は、自社株買いや配当増資が優先され、従業員、仕入先への利益還元は抑制され続けて来た。これが低賃金として表れている。

 

日本人が日本に投資せずに、S&P500を買いまくっているのは、こういったいきさつ、不信感によるものだ。

 

資本主義とはいえ、我々は何の為に働いているのだろうか。

能登半島地震後の先進国とは思えない避難所生活を強いられる人たちを見ると、そう感じてしまう。