BASI-KRAMER’s blog

浜までは海女も蓑着る時雨かな

01式軽対戦車誘導弾

国産初の打ちっぱなし対戦車誘導弾

 

01式軽対戦車誘導弾は多くの新機軸が盛り込まれている。

 

 【主な仕様】

 総重量18kg以下

 射程 非公開

 誘導方式 非冷却赤外線センサ ※世界初

 噴流操舵方式 ※世界初

 タンデム弾頭 ※日本初

 

打ちっぱなしを可能にする為、赤外線センサを採用したが、さらに非冷却方式とする事で瞬間交戦性を高めている。夜間標準機にも同様に非冷却方式赤外線センサを使用している。噴流操舵方式により、敵戦車を待ち構える掩体壕内から、安全に発射する事が可能。装甲車ハッチからの射撃も演習でお馴染みの光景となっている。タンデム弾頭により爆発反応装甲に覆われた戦車を撃破出来る。調達計画では発射機1,000セット、弾薬は毎年2,000発生産を10年継続、計2万発とされており、計画以上に調達した事で低コスト化を実現した。

 

改善が必要とされる事項

 

カールグスタフ84mm無反動砲の後継との位置付けであったが、多用途であるカールグスタフの機能すべてを置き換える事は想定しておらず、その後も併用され続け、2023年にはメーカで生産終了するM3型325門を駆け込み注文している。これは欠点というより使い方の違いであり、熱源のない構造物への使用は、もともと要求されていない。

 

改善が必要と聞くのは、内蔵バッテリの交換に関するものだ。バッテリは複数あり、現場での交換は出来ないという。例えば、自動追尾モードを起動してから発射しないと、バッテリが切れてしまい次回の発射が出来なくなるようだ。ただ、これも実戦では射手がやられない限り、起き得ない状況であり、恐らく訓練時の発射シーケンスの確認後、メーカにいちいち返却している事を不便と言っているのではないだろうか。

 

再装填が出来ない、という意味ならば、それは仕様、コストとのトレードオフとなる。繰り返し使用は便利に感じるが、構造は複雑化、形状も大きくなり、コスト上昇を招き、運用上のボトルネックにもなり得る。繰り返し使用を正式に要求すれば、次期型では交換構造に変更されるだろう。和製ジャベリンといったところか。

 

軽装甲機動車からの発射がやり難いとの指摘は、軽装甲機動車側の問題であり、もともと掩体壕内からの発射が主眼であった01式軽対戦車誘導弾の欠点とは言えない。

 

多くの新機軸を採用した01式軽対戦車誘導弾は、調達数、保管弾薬数も含めて成功事例だと判断出来る。防衛予算の大幅増額で、保管がない弾薬類は大量調達が始まっているが、01式軽対戦車誘導弾は要求事項として挙がっていない。