
お盆を過ぎた夏休み、父親と砂浜を釣りをしながら歩いていた。
あまり釣れず暇だったので、波打ち際、足元に落ちていた丸い石を拾おうとした瞬間だった。
『拾うな!!』
父親から怒鳴られて、びっくりしてしまった。
キョトンしている私に父親は言う。
『盆には、願掛けして投げられた石がある。安易に拾うと、悪い願を引き取る事になる』
『?』
意味が分からなかった。
父親が見てない隙に、足元の石をいくつか蹴って、ひっくり返した時、マジックで文字が書かれている石を見つけた。そこにはこう書かれていた。
『耳が聞こえるようになりますように』
その日、歩いている場所だけでも、たくさんの願掛けされた石が打ち上げられていた。
その多くは病気が良くなるように、との願いだった。
世の中には病気で苦しんでいる人がたくさん居る、子供ながらに、そう思い知らされた瞬間だった。
僅かだが、物騒な内容もあった。
『〇〇が苦しみぬいて死にますように』
人の怨念は恐ろしい。
目的を勘違いしていると思われる?、青春の願掛けもあった。
『〇〇君が私の事を好きになりますように』
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