BASI-KRAMER’s blog

浜までは海女も蓑着る時雨かな

将来水陸両用車

米国は断念したが、諦めきれない

 

2020年より、将来水陸両方車のモデリング開発を実施しているが、2023年においても、

 

将来水陸両用技術の性能確認試験のうち水際機動試験の試験支援役務

 

が発注されている。試作車両を使って試験を実施するようだ。もともと日本版のコンセプトは、日本沿岸のサンゴ礁など岩がむき出しになっている箇所における上陸作戦であり、技術的な課題は、キャタピラ駆動と、ウォータージェット推進を最適に組み合わせ、滑らずに乗り上げる制御方式にある。

https://www.mod.go.jp/atla/research/ats2022/pdf/disp_06.pdf

これは装輪式では難しいとされており、事前の政策評価において、以下のように記載されている。

(抜粋)

米国が採用した装輪式水陸両用車両(ACV1.1)も含めて比較検討したところ、新規の研究開発を実施することが適切であると判断した。 

www.soumu.go.jp

 

米国とも共同研究という話があるが、情報交換に留まる可能性が高い。

それでも、いつものように、あさっての方向に行く事は無さそうだ。

 

戦闘車両にもSDGsの波が

 

以下のコメントが公式に記録されている。これからの戦争は、自然環境へのいたわりも必要なのだろう。

 

有識者意見 

 サンゴ礁の保護に配慮した研究も必要ではないか。

 

AAV水際障害処理装置

 

現有のAAVには、上陸時に配置された地雷原を突破する処理装置の開発が進んでいる。今年R5年には試作品を登載した実車試験が実施される。類似品は米軍にもなく、独自開発となる。米軍にないのは理由があり、湾岸戦争時に、こういった処理装置を使ったとしても、上陸の安全を確保するのが極めて難しいと判断したからだ。上陸時には、沖合のある程度の深い海底には舟艇用の機雷が置かれ、その先の浅い海底に水際地雷が置かれ、砂浜に一般的な対戦車地雷、対人地雷が置かれている。置かれている機雷・地雷は複数種であり、マンタに代表されるステルス化も当然進んでいる。米軍は有人・有線による処理を諦め、UAVによる処理を主として開発を進めているようだ。

 

ここでも自衛隊は米軍が諦めた有人・有線処理を目指している。

 

陸上にある地雷の処理は従来と同じだが、水・波がある水際で爆薬を使った場合、ロープで繋がっている数珠なりの爆薬は波で揺られ、等間隔を保つ事が出来ない。かつ、爆発の衝撃波は水中で減衰してしまう。一般的には爆薬から水深までを半径とする距離でしか、効果を発揮しないとされている。つまり、横幅だけ広く効果的な衝撃波を送る事は出来ない。

 

試作品を見ると、かなりコンパクトな箱に収納されてるように見え、爆薬自体は大きくないよう見える。水際の潮の満ち引きがある水中に置かれている機雷を破壊するのは難しいだろう。

 

こちらは、米軍のアドバイスもないようで、結果、ボツ装備になりそうだ。
後、R6予算で2セットが要求されている。

https://contents.trafficnews.jp/post_image/000/144/225/large_220802_aav_011.jpg