将来の有人水陸両用車の国産化を目指して、2020年より、モデリング開発を実施している。2023年においても、
『将来水陸両用技術の性能確認試験のうち水際機動試験の試験支援役務』
が発注されている。試作車両を使って試験を実施するようだ。
もともと日本版コンセプトは、日本沿岸のサンゴ礁など岩がむき出しになっている箇所における上陸作戦であり、技術的な課題は、キャタピラ駆動と、ウォータージェット推進を最適に組み合わせ、要は滑らずに乗り上げる制御方式にある。
https://www.mod.go.jp/atla/research/ats2022/pdf/disp_06.pdf
これは装輪式では難しいとされており、事前の政策評価において、以下のように記載されている。
(抜粋)
米国が採用した装輪式水陸両用車両(ACV1.1)も含めて比較検討したところ、新規の研究開発を実施することが適切であると判断した。
この分野で先行していた米軍はEFVプロジェクトを中止したが、数ある原因のひとつが搭載エンジンが大き過ぎて、乗員スペースの確保が出来なかったことにある。
三菱はコンパクトエンジンの開発を進めており、コモンレール高圧噴射と高圧過給とで体積あたりの馬力は71馬力/Lとなり、これは10式戦車よりも30%UPしている。
https://www.mod.go.jp/atla/research/ats2019/doc/inoue.pdf
無人水陸両用車の開発
事前の要素開発として、無人水陸両用車の開発が始まっている。基本的に有人車両技術をそのまま活用すると思われる。
https://www.mod.go.jp/j/budget/yosan_gaiyo/2024/yosan_20240328.pdf
https://www.mod.go.jp/j/policy/hyouka/seisaku/2023/pdf/jizen_15_honbun.pdf
また、関連する周辺装備として現行AAVでも使用可能な、『水際障害処理装置』の装備化された。ただし、実戦での効果には疑問がある。
AAV水際障害処理装置
2025年6月
『25式地雷原水際処処装置』として正式化。
上陸時に配置された地雷原を突破する処理装置る。今年R5年には試作品を登載した実車試験が実施される。類似品は米軍にもなく、独自開発となる。
米軍にないのは理由があり、湾岸戦争時に、こういった処理装置を使ったとしても、上陸の安全を確保するのが極めて難しいと判断したからだ。
上陸時には、沖合のある程度の深い海底には舟艇用の機雷が置かれ、その先の浅い海底に水際地雷が置かれ、砂浜に一般的な対戦車地雷、対人地雷が置かれている。置かれている機雷・地雷は複数種であり、マンタに代表されるステルス化も当然進んでいる。
米軍は有人・有線による処理を諦め、UAVによる処理を主として開発を進めているようだ。
陸上にある地雷の処理は従来と同じだが、水・波がある水際で爆薬を使った場合、ロープで繋がっている数珠なりの爆薬は波で揺られ、等間隔を保つ事が出来ない。かつ、爆発の衝撃波は水中で減衰してしまう。一般的には爆薬から水深までを半径とする距離でしか、効果を発揮しないとされている。つまり、横幅だけ広く効果的な衝撃波を送る事は出来ない。
試作品を見ると、かなりコンパクトな箱に収納されてるように見え、爆薬自体は大きくないよう見える。水際の潮の満ち引きがある水中に置かれている機雷を破壊するのは難しのではないか。R6予算で2セットが要求されている。