持ってて良かった誘導弾
ベースとなる03式中距離地対空誘導弾は、国際共同開発に参加出来ず、オールジャパン誘導弾として、国内開発がスタートした経緯がある。当時のコンセプトは、『ホークとペトリオットPCA2、心の隙間埋めます』であり、射程もだいたいその間であった。性能的には概ね満足出来るものであったが、(改)の開発がすぐに開始されている。
特徴は、
・低高度の監視強化 → GaN素子を採用した補助レーダ追加
・高速ASM、蛇行戦闘機への対処 →航跡予測アルゴリズム追加
であり、ミサイル本体はブースタ改善、操舵システムが更新されている。この(改)は、三菱重工は参画していない。東芝への仕事量確保の為だろうか。
電子機器は民生品を取り入れ、コストダウンを図ると供に、処理の高速化によりネットワーク交戦性能が向上した。このネットワーク交戦性能というのは、例えば、2つのミサイルが、ある目標に向かっている最中に、その目標が1つのミサイルで正確に破壊された場合、残ったもう1つのミサイルは、自動的に次の優先順位の高い目標に向かう、といった優先順位付けアルゴリズムと誘導方式であり、イージスシステム対空機能に似た機能として実現している。
配備はホーク改善型を置き換える形で進んでいるが、まだ半分近い中隊が更新されていない状況。台湾有事を叫び、その台湾ですらホークの運用を今年終えているが、日本はこの先数年(R14年まで)旧式ホークを温存したままであり、相変わらず平和ボケが治らない。
日本ダメポ
調達予定数は、令和14年度までの間に、約14個射撃単位(約3.5個システム)となっている。
https://www.mod.go.jp/j/approach/hyouka/rev_suishin/r03/pdf/r03_rontenshiryou_01.pdf
射撃単位(FU)は高射中隊での運用であり、その中隊を取りまとめる対空戦闘指揮装置等は管理中隊が、無線装置は通信中隊が受け持つ。予算で書かれている、”1個中隊”は、1射撃単位の装備品を、”1式”は上位の管理機材・無線機材を表している。
調達は14個高射中隊+3.5式の計3.5個群分であり、旧式ホークを運用している残11個中隊+αを更新する。+αは、2024年度に出戻り再編成される第5高射特科群分(現 第101高射特科隊) だろうか。
03式中距離地対空誘導弾 (改) の能力向上
極超音速滑空兵器の迎撃を可能とする能力向上型の開発が開始されている。BMDの構成要素にもなる予定だ。射程距離は、恐らく150km超でペトリオットPAC3とSM-6の心の隙間埋めます、をコンセプトに掲げている。配備時、日本のミサイル迎撃態勢は、
PAC3 < 03式(能力向上型)<SM6<SM3
となり、信長もびっくりの4段構えとなる。
ただし、本ミサイルは滑空兵器対処のみであり、滑空型でない極超音速兵器の迎撃ミサイルは、別途開発中。SM6は大気圏内の弾道ミサイル、極超音速兵器とも対処可能であると、メーカはコメントしているが?
リンク
https://ssl.bsk-z.or.jp/kenkyucenter/pdf/041212melco.
https://www.mod.go.jp/j/approach/hyouka/seisaku/2022/pdf/jizen_12_logic.pdf