BASI-KRAMER’s blog

浜までは海女も蓑着る時雨かな

スタンドオフ電子戦機

現代における電子戦

 

https://www.mod.go.jp/j/publication/wp/wp2020/image/photo040202.jpg

防衛省・自衛隊|令和2年版防衛白書|➌ 研究開発に関する取組

 

ベースとなる技術は陸自の電子戦装備NEWSだ。詳細は非公開で何も分からないが、現時点では米軍を凌ぐとの話も聞く。ま、米国が本気出したら、秒で抜かれると思うけど。

開発のポイントは、

  ・情報収集、妨害が一体的に可能

  ・機動収集が可能

とされている。要は、移動しながら敵の位置を把握して、局所的に情報収集と妨害が可能という事になる。相手も移動、自分も移動なので、相手の位置特定の為の計算処理は複雑化する。軽い計算処理のアルゴリズム開発に苦心したと推測する。アンテナ車両が情報収集を、レドーム型が妨害を担当する。アンテナの長さが色々なのは複数の周波数帯に対応する為だ。

https://ssl.bsk-z.or.jp/kenkyucenter/pdf/30④HPmitsubisi.pdf

 

民間のWifiでも、通信を解明して、中身を書き換えるのはほぼ不可能だ。

通信は基本暗号化されており、通信があるのは見えるが、データは分からない。SSIDを入力する事でデータを見る事が出来るようになる。つまりSSIDをランダムに入力し続ければ、いつか当たりを引くことは出来る。ただし、データ自体が暗号化されていれば、そこからさらに解読する必要がある。考えただけでも頭痛がしてくる。

 

もう1つ、同じ周波数帯に妨害電波を当てまくるという手がある。こちらの方が難易度は低い。例えば、日本のコンビニには店内に電子レンジがあり、周波数は2GHz帯だ。Wifiには2.4GHzと5GHzがあるが、干渉を避けるため、5GHzが使われている。スペクトラムアナライザを使うと、干渉の度合いを簡単に見る事が出来る。

 

周りの送信電波の存在はパワースペクトラムとして簡単に見る事が出来る。これに対して、スターリンクのような衛星通信では、地上設備は受信オンリーにすれば、地上の送信パワースペクトラムは見えない。ウクライナ戦でロシアの電子戦に対抗できるのは、この為だ。それでも、なにからしらの妨害は始まっていると思われる。一般的な衛星通信機器同士での通信では、アップリンクとダウンリンクが発生する為、民生機器は、衛星通信(主に気象衛星が使っているCバンド)の周波数帯を空ける機能、動的周波数選択 DFS:Dynamic Frequency Selection、が備わっている。衛星の送信電波は微弱なため、それだけ干渉を受けやすいという事だ。軍用では周波数ホッピングしたりして、特定周波数の妨害に強くしている。

 

といった具合に、軍用でなくとも電波仕様はとても複雑なので、それを妨害するというのは大変なのだ。よって、日本のスタンドオフ電子戦機も2段階に分けて研究されている。

出典:総務省

総務省|政策評価ポータルサイト|防衛省 研究開発を対象とする政策評価

 

現在整備中の1機は第1段階であり、第二段階はR5年から研究が始まったばかりだ。