BASI-KRAMER’s blog

浜までは海女も蓑着る時雨かな

追憶 ~エルピーダメモリ

坂本社長が遺したもの

 

news.yahoo.co.jp

 

国産支援だ!購入したエルピーダメモリ上場廃止となり、200万円の損失を被った。取り返すのに1年半かかったが、今ではいい思い出、スイートメモリーだ。

 

坂本社長は稀有の経営者であったと思う。ただし、環境が悪すぎた。2011年当時の円相場は75円。今の半分、見方を変えれば日本の価値が2倍だった。

 

これは、2023年のGDPを単純に計算すると、

 

日本 4兆2106億ドル → 6兆3000億ドル

ドイツ 4兆4561億ドル

 

となり、数字上ではドイツをぶち抜いて余裕の3位復帰だ。

今は円安で大変だと言っているが、当時は円高で大変だと騒ぎになっており、その時々でトレンドは変わるが、投機ではなく通貨価値という意味で強い円が国益になるのは間違いない。当時のエルピーダは、本当に運がなかった。今なら、快進撃となっただろう。

 

もともと日本はDRAMで世界を席巻したが、これは投資し続けた者が勝つ、ある意味チキンレースでもあった。日本企業はM&Aをやらずに個別に投資した為、国家政策で動いた韓国に負けてしまった。これは造船や液晶など、過去から繰り返されてきたパターンでもある。

 

日経平均が4万を超えて、賃上げがニュースになっているが、世間の反応を見ると、そうでもない。労働人口70%超を占める中小企業(法人登録数ではなく、就労数割合)には恩恵がないと嘆くのだ。最大の要因は生産性が低すぎるのが原因なのだが、どうしてもそこに議論が至らない。

 

 大企業が搾取している  → 法人税上げろ、内部留保に課税しろ

 政権与党が悪い → 政権交代

 一部の金持ちが優遇されている → もっと税金を取れ

 等々

 

大衆迎合の政治家は、それでは、低所得世帯にお金を配りましょう、子供手当を増やしましょう、とするが、今度はもらえる側と、取られる側の対立が先鋭化していく。そうして生産性が高い国民は、世間に関心を持たなくなり、声を上げなくなる。結果、生産性が低い声が多数派を占める社会となるのだ。

 

例えばyoutubeで年収の何倍も稼いだり、株式で資産を増やしたり、元の境遇から抜け出す努力をして、結果を残す人もいる。ところが、それすら批判されることが増えている。彼らは、その分、納税して社会に貢献しているのに、だ。

 

稼ぎを増やす術を考え、その機会を広く国民に与える。もちろん必要とされるスキルを磨く努力は必要だ。これは、職種に依らず皆そうしている。その努力もいやですの方々と個別に話す必要はないが(社会としてのセーフティネットは必要)、これ以外に社会を豊かにする方法はない。坂本社長ならば、どのような術を考えるだろうか。