BASI-KRAMER’s blog

浜までは海女も蓑着る時雨かな

潜水艦発射型誘導弾

国産ミサイルの潜水艦搭載は、過去に何度も検討されている。しかし、ミサイル格納コンテナの開発だけでも多額の予算が必要な為、見送られてきた経緯がある。

 

動画UGM-84のように、ミサイルを収めるコンテナも魚雷型となるだろうが、取扱は容易ではない。

 

 ・コンテナは折り畳み式の舵(フィン)があり、装填時に保護カバーを取り外す。

 ・コンテナと魚雷発射管とを通信・電力供給用のアンビリカルケーブルで接続。

   コンテナのコンタクト部は、発射時に安全に外れる仕組みになっている。

 ・魚雷と同じく圧縮空気で射出。コンテナは舵を使い海上に向かって浮上する。

 ・ミサイルをコンテナから射出する。

 

www.youtube.com

 

動画では発射シーンは省かれている。これは射出時の音紋が極秘だからだ。

 

欧州を始め多くの国々がこのコンテナとトマホークの導入を検討したが、公式に米軍が供与した事例はないとされる。

 

潜水艦発射型誘導弾の総事業費は試験費用を除いて793億円と巨額となっている。コンテナ開発に加えて、ミサイル本体と発射管の改造、制御システムの開発が必要となる為。

 

ミサイル本体は、コンテナから射出された後、ブースターで海面上に浮上、ブースターを切り離した後、巡行ミサイルとして飛行する。ミサイル本体も海水中で動作する為、この部分の開発も新たに必要となる。

事業評価

https://www.mod.go.jp/j/policy/hyouka/seisaku/2022/pdf/jizen_11_logic.pdf

 

試験は、試験専用になった、たいげい型1番艦『たいげい』で実施されるだろう。

 

これだけの巨額予算を投入するのは、従来艦への配備だけでなく、次期潜水艦に搭載されるVLSへの適用を見据えているからだ。

kaigo-sos.hatenablog.com

 

通常弾頭である以上、対地攻撃では限定的な効果しかない。しかし、事業の概要では、対艦誘導弾と明記されており、これは相手方空母などにとって、大きな脅威となる。

 

配備計画を見ると、R10年代の潜水艦に搭載とあり、配備済み潜水艦には搭載出来ないようだ。これは潜水艦の標準化が行われておらず、未だに一品モノとして建造し続けている慣行が大きな要因となっている。