BASI-KRAMER’s blog

浜までは海女も蓑着る時雨かな

次世代戦闘機F-3で思う事

F-2の苦い思い出

 

過去色々あったが、そこら中で語られているので、内容は省略するとして、三菱スペースジェットもそうだったが、日本はいつも、『システムインテグレーションの知見が無さ過ぎて失敗』、を繰り返している。

 

担当部分はやるけど他知らん、という組織になってしまっているのだが、これは防衛産業に限った事ではなく、高度な技術を扱う分野で日本が競争力がない最も大きな原因だと痛感している。個々の技術があるのは、もちろん大切だが、それを統合する事がもっと重要なのだ。

 

日本には高度なCADがない

 

名のある日本企業でも世界ではTier1どまりになっている現実を見ると、なぜ?と思うのでは。ファイナルアンサーは、数十年前から出ている。かつてボーイング始め米国企業はCADを含めた関連技術を完全にブラックボックスとして独占していた。対して欧州企業はオープンアーキテクチャを採用、顧客を獲得して来た歴史がある。

 

最近までフランス ラファール戦闘機は輸出実績がなかった。失敗作とレッテルを貼る軍事評論家も多かった。

 

だが、ラファール戦闘機を設計する為に開発したCAD使用料でフランスは稼ぎまくっている。少し古い話になるが、日本の自動車産業だけでも、年間500億を超える使用料を払っていた。前述の通り、米国はCAD技術を非開示にしていたので、多額の使用料を払って使わせてもらうしか、方法がなかったのだ。

 

CADがないと戦闘機も半導体も車(特に内燃機関)も設計する事は出来ない。そして、そのCAD開発には膨大な開発費が必要だ。これはシミュレーション機能の実装が必須で、その為に膨大な実験データをインプットする必要があるからだ。

 

かつてフランスは国際社会の猛反発を無視して、太平洋で核実験を実施した。

なぜか?

核開発シミュレータにインプットする実験データが必須だったからだ。

今は実際に核実験を実施しなくても、疑似的に核実験が可能になっている。

実際の実験では、核爆発寸前までを実験する事で、核爆発なしで、核実験データの蓄積が可能となっている。

 

競争力を取り戻すにはCAD開発が必須

 

かつて大学にインテル8080開発で著名な嶋先生が講演にいらっしゃった。終わった後、私は質問したのです。

 

私『先生、どうして日本ではCPUが作れないのですか?』

 

嶋先生『日本にはCADがない。インテルのCADは兆円単位の開発費がかかっている。CADがない限り、日本でCPUは作れない』

 

即答だった。今でも鮮明に覚えている。

 

後、東京大のCPUトロン計画が米国の圧力で潰されたりしたが、CADがない状態では、すぐに陳腐化しただろう。台湾メーカも毎年、CAD開発に膨大なコストを投入し続けている。日本の政治家や官僚は、このような事実を知らないまま、『復権』を叫び続けているのだ。

 

賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ

 

 

参考文献①

asia.nikkei.com

 

参考文献②

ja.wikipedia.org