都合の良い有事
自衛隊の装備品で度々耳にするのが、
C-2の輸送を考慮して
というものだ。155mm装輪りゅう弾砲もコンセプトに掲げている。
C-2には、運用制限がある。
・将来配備は22機
・不整地運用は出来ない
・滑走路は2400m必要
沖縄県は沖縄本島以外、滑走路は2000m以下であり、C-2は使えない。
空輸できるのは沖縄本島だけとなる。PAC-3を、常時配備して厳重警戒しているが、有事の際には、真っ先に攻撃対象となる。空港周辺は防御出来ても、そこに飛来する輸送機は丸腰だ。安全な運用は無理だろう。
つまり、南西有事の際、C-2では何も運べない。にも関わらず、それを前提に各種装備に輸送重量等の制限をかけ、装備品としての機能を落としているのは滑稽に思える。そしてその155mm装輪りゅう弾砲には、耐地雷機能だけでなく、NBC防御もない。そんな都合の良い有事があるのだろうか。
米国は輸送による前方展開を進めており、それがストライカー構想でもあったが、結果、機能制限によるデメリットが大きい、正規戦では使えないと判断して、装備の前方備蓄に舵を切っている。世界規模でこんな事が出来るのは米国だけだろうが、日本は少なくとも自国内であれば、前方集積は出来るはずだ。
防衛費大幅増額の際に、この話が全く出てこなかったのは、やはり平和ボケした官僚思考の限界だろうか。
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機動揚陸プラットフォームはこけそう
海の上に移動基地を、という構想は2010年代初頭から米軍で研究されており、試行錯誤の末、やっぱりやめとこ、という流れのようだ。発想はおもしろいと思うが、如何せん、洋上は風も波もあり、海なので塩による腐食が激しい。船である以上、護衛艦のようなローテーションの運用が必須であり、維持費はかさむばかりだ。
やはり陸上の基地と基地とを結ぶ物流管理が王道なんだろうと思う。
そこには装備品の備蓄だけでなく、保守部品も含めた稼働率の向上が期待値になると思う。米軍は、はやくからRFIDによる部品管理の可視化を進めている。