BASI-KRAMER’s blog

浜までは海女も蓑着る時雨かな

もがみ型 ~輸出の可能性

日本独自の専用設計だが

www.youtube.com

 

報道によると豪州のフリゲート艦導入計画の候補に、もがみ型が挙がっているという。

候補は4種とのこと。

 

Meko A-200
Mogami 30FFM
Daegu class FFX Batch II and III
Navantia ALFA3000

 

どれが有力かという話がすぐに始まるが、そもそも豪州の置かれた社会状況を見る必要がある。艦艇の製造に関しては、豪州は景気が良くサービス業が主なので、3K職場の造船所に人が集まらずに、技術継承が出来なくなっている。これは米国でも起きている現象であり、米艦艇の定期修理を日本で実施する話が出ているのは、米国での空母等の大規模オーバホールに人手を捻出する為だ。さらに日本と同じく豪州では軍人自体を集めるのも苦労している。結果、スキル維持が難しくなっているのだ。このため、複雑な操作やノウハウが必要な装備では、稼働率が上がらない事が懸念される。

 

一方で安全保障環境を見ると、周辺の脅威に対抗出来る装備が必要なわけで、ざっと書くと、

 

 ・求められるニーズに柔軟にカスタマイズ可能か

 ・現地への技術移転がスムーズに出来るか

 ・各ミッションは体系的な教育・運用が可能か

 ・将来の発展性の確保

 

となる。Mekoはもともとこういった背景を踏まえたモジュール構造で実績を積んできたし、韓国もそれに倣っているはずだ。Navantia ALFA3000はベースとなるイージスシステム搭載艦のライト版であり、輸出仕様となっている。35か月で2隻生産が可能なのが強みとされており、艦艇の仕様、生産能力とももがみ型に近しい。

 

Navantia ALFA3000 をギリシアに提案するにあたり、メーカは以下の様に述べている。

 

(出典 リンク①抜粋)

世界中の顧客に対する Navantia のアプローチは、2 つの重要な要素に焦点を当てています。

  1.当社の経験を活用し、新しいテクノロジーを組み込んだ製品をカスタマイズして、お客様が特定の要件を満たす最適な (そして最もコスト効率の高い) ソリューションを見つけられるように支援します。

 2.長期的なパートナーとなり、最初の開発および製造契約を超えて、製品ライフサイクル全体を通じてあらゆるレベル (政府、海軍、産業界、学術界など) で緊密な関係を構築し、現地の国内能力をサポートすることです。

 

ここにあるように、装備品がどうなのかより、相手からの装備面・運用面の要求に適切に応える事が出来るか、提案出来るか、が重要視されている。これは他のメーカも同じだ。

 

Mogami 30FFMは、こういう視点で設計されていない&体制もないので、全く候補にならないだろう。買ってください、では誰からも相手にされない。統合マストUNICORNなど、個別モジュールの輸出の可能性はあると思うが、巨大なシステムソリューションでもある護衛艦の輸出は出来ないだろう。

 

リンク① Navantia ALFA3000

www.navalnews.com