2025年8月
オーストラリア政府は優先交渉権を日本に与えると報道されている。
ただし価格で折り合わなければ、ドイツと交渉するということなので、ドイツ製よりも適した仕様の船を、ドイツ同等以下の価格で提供する事が求められる。
2029年までに納入すると言われており、2社建造の意義が大いに発揮される事になった。フル生産は、毎年、三菱2隻、JMU1隻の合計3隻となる。
【建造計画のイメージ(日本向けのみ)】
ワークシェア重視 コスト重視
2024 1 1 1 1
2025 2 1 2
2026 2 1 2 1
2027 2 2
2028 1 1 2 1
2025年1月
新型FFMを、30FFMもがみ型のアップグレード版として、紹介している。
VLSは32セルと紹介されているが、発射可能な対空ミサイルやSSMがなんであるか不明だが、米国製(米国採用品)ならば、ある程度は対応可能かもしれない。
最終候補は2機種になった。
Meko A-200
Mogami 30FFM
Mogami 30FFMは、新型FFMかつ日本仕様の輸出ではなく、豪州側の意向を踏まえたカスタム版となるようだ。輸出実績ではMeko A-200に分があると思うが、ドイツは長らくロシア産の格安ガスによる経済絶好調を謳歌している間、防衛産業の地盤沈下が進んでしまっており、技術的な目新しさがない。
新型FFMの仕様面での新しさ、省人化、カスタマイズ性と、政治的な日・米・豪州の連携重視を見ると、以前よりは受注確率が上がったと見える。
現地生産のコスト、技術移転の度合いに関しては、豪州は人手不足でもあり、最低ラインを満たせば現地化率へのこだわりは低いだろう。
2024年以前
報道によると豪州のフリゲート艦導入計画の候補に、もがみ型が挙がっているという。
候補は4種とのこと。
Meko A-200
Mogami 30FFM
Daegu class FFX Batch II and III
Navantia ALFA3000
どれが有力かという話がすぐに始まるが、そもそも豪州の置かれた社会状況を見る必要がある。艦艇の製造に関しては、豪州は景気が良くサービス業が主なので、3K職場の造船所に人が集まらずに、技術継承が出来なくなっている。これは米国でも起きている現象であり、米艦艇の定期修理を日本で実施する話が出ているのは、米国での空母等の大規模オーバホールに人手を捻出する為だ。さらに日本と同じく豪州では軍人自体を集めるのも苦労している。結果、スキル維持が難しくなっているのだ。このため、複雑な操作やノウハウが必要な装備では、稼働率が上がらない事が懸念される。
一方で安全保障環境を見ると、周辺の脅威に対抗出来る装備が必要なわけで、ざっと書くと、
・求められるニーズに柔軟にカスタマイズ可能か
・現地への技術移転がスムーズに出来るか
・各ミッションは体系的な教育・運用が可能か
・将来の発展性の確保
となる。Mekoはもともとこういった背景を踏まえたモジュール構造で実績を積んできたし、韓国もそれに倣っているはずだ。Navantia ALFA3000はベースとなるイージスシステム搭載艦のライト版であり、輸出仕様となっている。35か月で2隻生産が可能なのが強みとされており、艦艇の仕様、生産能力とももがみ型に近しい。
Navantia ALFA3000 をギリシアに提案するにあたり、メーカは以下の様に述べている。
(出典 リンク①抜粋)
世界中の顧客に対する Navantia のアプローチは、2 つの重要な要素に焦点を当てています。
1.当社の経験を活用し、新しいテクノロジーを組み込んだ製品をカスタマイズして、お客様が特定の要件を満たす最適な (そして最もコスト効率の高い) ソリューションを見つけられるように支援します。
2.長期的なパートナーとなり、最初の開発および製造契約を超えて、製品ライフサイクル全体を通じてあらゆるレベル (政府、海軍、産業界、学術界など) で緊密な関係を構築し、現地の国内能力をサポートすることです。
ここにあるように、装備品がどうなのかより、相手からの装備面・運用面の要求に適切に応える事が出来るか、提案出来るか、が重要視されている。これは他のメーカも同じだ。
Mogami 30FFMは、こういう視点で設計されていない&体制もないので、全く候補にならないだろう。買ってください、では誰からも相手にされない。統合マストUNICORNなど、個別モジュールの輸出の可能性はあると思うが、巨大なシステムソリューションでもある護衛艦の輸出は出来ないだろう。
リンク① Navantia ALFA3000