BASI-KRAMER’s blog

浜までは海女も蓑着る時雨かな

潜水艦発射型ミサイル開発

開発費は5年584億円

 

過去にも国産ミサイルの潜水艦発射型の開発は何度も検討されたが、ミサイル格納コンテナの開発だけで多額の予算が必要な為、見送られてきた経緯がある。

 

動画のUGM-84を見ると分かりやすい。ミサイルを収めるコンテナは魚雷型となっており、取扱は容易ではない。

 ・コンテナは折り畳み式の舵(フィン)があり、装填時に保護カバーを取り外す。

 ・コンテナと魚雷発射管とをアンビリカルケーブルで接続。

  コンタクト部は、発射時に安全に外れる仕組みになっている。

 ・魚雷と同じく圧縮空気で射出。舵を使い海上に向かって浮上する。

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ミサイル本体は、海中でコンテナを切り離し後、ブースターで海面上に浮上、巡行ミサイルとして飛行する。ミサイルも海水中で動作する為、この部分の開発も新たに必要となる。

 

国産化する意味は?

 

技術的な優位は、見当たらない。既存ミサイルをベースとするが、コンテナは新規開発、ミサイル本体も要素開発が必要。さらに、実用試験も必要となる。コンテナはアメリカからライセンス生産する可能性もある。よほどの革新性がない限り、独自に開発する意味がないからだ。米国企業は多数の特許を保有している為、それを回避すると意味不明な仕様になりかねない。陸上装備だが、高射機関砲で実例(ドイツのゲパルトのレーダ配置を回避)がある。陸上装備と違って、パクってもバレ難いが・・。

 

潜水艦からミサイルを発射した場合、位置が特定される為、すぐに退避する必要がある。何発も撃てるわけでもない。弾頭はただの通常弾頭だが、主に空母を想定した開発中の対艦バンカーバスターが採用される可能性はある。

 

本計画で要素技術を獲得した後、VLS搭載の潜水艦を建造する予定となっている。

 

これだけの開発費をかけるのは、このまま輸入を継続するよりは、コストメリットがあると判断されたのだろうが、自衛隊の装備品は導入後、ほぼアップデートされないので、本ミサイルも、時代に取り残され、いつものようにすぐに陳腐化する懸念がある。

 

参考リンク:

www.mod.go.jp