BASI-KRAMER’s blog

浜までは海女も蓑着る時雨かな

新艦対空誘導弾

次期護衛艦に搭載

 

R13年から建造が開始される次期型の汎用護衛艦DDに搭載される新艦対空誘導弾は、新FFMに搭載される艦対空誘導弾A-SAMの能力向上型、A-SAM改となる。(リンク①)

 

A-SAMは03式地対空誘導弾に所定の変更を加えたものだが、A-SAM改では長射程化により部隊防御までを担う。高高度、高速、低RCSのミサイル迎撃を行う為、サイドスラスタ搭載が大きな特徴となる。

 

開発においては、R3まで実施された『高高度迎撃用飛しょう体技術の研究 』の成果が活かされる。

試作されたサイドスラスタとTVC(出典リンク②:防衛省

本研究では、高高度領域での旋回力の確保の為、空力舵、サイドスラスタ、TVCによる複合制御の確立が主眼となっていた。一般的に低高度になるほど空気密度が高くなり舵の制御が有効だが、高高度では空気密度が下がる為、舵よりもTVC制御の効果が高くなる。高度ごとに複合制御する事で、各高度での旋回力を最適化するものだ。TVCは、推力ベクトル制御であり、推力変更ノズルにより、推進方向を制御する。イスラエルのアローミサイルで採用されている方式だ。A-SAM改では、TVC方式の記載がないが、極超音速兵器迎撃ミサイルで採用される可能性がある。

 

アルゴリズムに関しては過去に研究された、不要な情報の除去による計算の高速化と移動方向予測アルゴリズムが発展継承されていると思われる。当時、一般的な比例予測アルゴリズムと比較して10%以上迎撃時間(下図の赤点線部分)を短縮する効果が期待できるとされていた。FCネットワークと連接されてクラウド処理されるのかもしれない。https://aviationweek.com/sites/default/files/styles/crop_freeform/public/uploads/2015/08/df-jm-seekergraphpromo.jpg?itok=633xVSib

Japan Working On Anti-Stealth Missile Guidance | Aviation Week Network

 

今から25年前、AAM-4ベースの艦対空ミサイルXRIM-4と世界初のアクティブレーダFCS-3による、世界を驚愕させる絶倫撃ちっぱなしミサイルシステムの構築が検討されていたが、色々な事情※で幻となってしまった。個人的には、後の振舞が大失敗だと思っている。米国はイージスシステム前身のタイフォン計画で大コケしたが、そこから学び取り、行動に活かした事で、世界の誰もマネできない唯一無二のイージスシステムへとつなげている。失敗した後のやり方で、後の成果に大きな差がついたのは明らかだ。

 

イージス艦の輸出が認められた。FSX予算が優先された。登場したESSMが最大射程ではSM1すら超える性能だった。

 

防衛予算の大幅増額と合わせる形にはなったが、ようやく防衛省アジャイル開発を取り入れ始めている。開発プロセスが、いつになっても民間企業よりも遅れているのは明らかに組織の問題だろう。

 

本日はH-3ロケットのリベンジ打ち上げが成功した。

苦しかったと思う。関係者の方々、おめでとうございます。

角打ち行ってきます。

 

リンク①

https://www.mod.go.jp/j/policy/hyouka/seisaku/2023/pdf/jizen_11_honbun.pdf

 

リンク②

https://www.mod.go.jp/atla/research/ats2020/poster/kenkyu_07.pdf