BASI-KRAMER’s blog

浜までは海女も蓑着る時雨かな

将来護衛艦 ~統合電気推進

増大する電力需要

 

統合電気推進の開発の歴史は古いが、商用として世界初となる統合電気推進ガスタービンエンジンはロールスロイスのWR-21であり、イギリスTYPE-45に搭載されている。

 

統合電気推進の仕組みはざっくりいうと、ガスタービンエンジンの回転をオルタネータで電力へと変換、電力をコンバータで所定の電圧へと変換した後、推進用プロペラと接続されたモータに電圧を供給する。電圧系統にはディーゼル発電機からの出力も合流し、艦内に電力を供給する。従来は推進用のエンジンで機械的にプロペラを回転させて、発電用のエンジンで電圧を供給するが、これを所定の電圧に変換して推進も含めて全部を電気接続するのが統合電気推進となる。日本の護衛艦も部分的な電気推進、つまりハイブリット型に移行しつつあり、最新のまや型ではCOGLAG※を採用している。

 

※巡航時はガスタービンエンジン電気推進を使用、高速時には推進用ガスタービンエンジンによる機械駆動も併用

 

まや型では川崎製ガスタービンエンジンM7A-05を電気推進用として使用しているが、速力は18ノット程度で、作戦時における実用領域とは言い難い。一方で、先行するTYPE-45の電気推進システムも万全とは言えず、水温気温が上昇すると、効率が落ち始め、ある一定以上となると機器が故障し易くなるとも言われている。電力効率は、あらゆる条件で均一に高効率を保つ事は原理的に出来ないので、想定使用領域内でギリギリを狙って設計する為、こういった事が容易に起きる。

 

なお、最新のFFMもがみ型はコストダウンを主眼にしている為、機械式での最小構成&高効率を狙ってCODAGを採用している。よって、遅れているとかそういう事ではない。

 

中期的にみて、防衛省の意向はハイブリット型から完全な統合電気推進への進化であり、これは将来、レールガン、マイクロ波、レーザなど、電気てんこ盛りに備えて当然の方針となる。

 

R13年から建造開始される次世代汎用DDでは、どのような機関構成となるのか興味があるところだ。

kaigo-sos.hatenablog.com

 

参考リンク:M7A-05

https://ssl.bsk-z.or.jp/cms/wp-content/uploads/2023/12/656d561c511e15.42153608.pdf