BASI-KRAMER’s blog

浜までは海女も蓑着る時雨かな

次期戦闘機 第6世代コンセプト

第6世代機として2035年就役

 

CCAPを法的に位置付ける枠組みとして、GIGO、GCAP International Government Organisationが設立、3か国が署名した。政治的なハイコミットメントという意味でマイルストーンだと言える。

 

細かい技術仕様についてはまさに話し合い中だと思われるが、量産までの時間がほとんどないのがリスクだろう。

www.mbda-systems.com

 

第5世代には『ステルス』という判りやすいキーフレーズがあったが、何を持って第6世代なのかは解釈が分かれている。GCAPで掲げられているコンセプトは以下の通りだが、単語だけ見ても、第5世代のアップグレード版と何が違うのか、イメージ出来ない。

 

【GCAPコンセプト】

 ・インテリジェントウエポンシステム

 ・デジタルコックピット

 ・次世代レーダ

 ・高効率エンジン

 ・ソフト飛行制御

 ・統合センシング

 

日本独自のコンセプトがどこまで反映されるかも不明だ。

XF9エンジンで日本はやっと世界に追いついた感があるが、実験室レベルでもある。

みんなのロマン、推力変更機構は搭載されるだろうか。

推力変更機構(出典リンク①:IHI

増大する電力、熱との地味な戦い

 

これらシステムの消費電力は大幅に増大するのは確定であり、発電機などの技術も重要になる。(写真出典リンク③:川崎重工 航空機用発電機向け無段変速技術)

https://www.khi.co.jp/rd/technologies/air/img/airc_im01.jpg

 

発電量が増せば、発熱も大きくなり、冷却装置の大型化が避けられない。

こちらは「将来戦闘機用小型熱移送システム」として試作、研究が実施されている。

VCS(べーパーサイクルシステム)冷却システム (出典リンク④:防衛省

VCSは、エアによる冷却ではなく、発電機からの電気でコンプレッサを駆動、液化と蒸発による熱交換を行う。システム構造が簡素な為、コンパクト化されるが、冷媒の管理やコンプレッサのロバスト設計が難しいとされる。VCS自体は目新しい技術ではなく、米軍は1980年代には、LANTIRN (ランターン)ポッドへの搭載で技術を確立しているが、そこに至るまでには苦労している。

 

統合センシングとソフトによる飛行制御では、膨大な機内外データを扱う為、世界で初めてP-1が実用化したFBL(フライバイライト)も採用される可能性が高い。FBLは電波妨害に強く、自身の電波放出も小さいという利点がある。

 

技術のシーズは世の中に溢れかえっている為、それらをコンセプトの元、どうインテグレーションするのか、その成否が戦闘機の拡張性も踏まえた能力を左右するだろう。

 

リンク①

https://www.ihi.co.jp/technology/techinfo/contents_no/__icsFiles/afieldfile/2023/06/17/07_ronbun1.pdf

リンク②

https://www.mod.go.jp/atla/research/ats2020/poster/kenkyu_05.pdf

リンク③

航空機用発電機向け無段変速技術 | 研究開発 | 川崎重工業株式会社

リンク④

https://www.mod.go.jp/atla/research/gaibuhyouka/pdf/VCS_30.pdf